健康食品と特許

商品開発における留意点

 健康食品に限らず、商品開発に当たっては、特許等の知的財産権に対する対策をとる必要があります。しかし、私の経験では、新商品を出す寸前になって、何か特許がとれないかと言って相談にいらっしゃる方が多いのが現状です。

 そのような状況で、特許的にできることは限られてしまいます。すなわち、新商品について、特許をとれそうな特徴があるかどうかを検討し、そのような特徴について既に公知になっているかどうかについて特許調査を行います。しかし、特許調査の結果、同じような技術内容で既に公開されている特許出願が発見された場合には、特許を取得することが難しいだけでなく、場合によると、その特許権の侵害になってしまうことから、新商品の販売を中止しなければならなくなってしまいます。

 また、仮に出願をすることになっても、既に商品の販売開始日まで決まっていると、その前に出願する必要が出てきます。しかしながら、出願に必要な特許の明細書等を作成する段階で、発明の効果を示す実験データが不足していたり、微生物の寄託が必要になったりすることもあり、時間的に間に合わなくて出願を断念したり、不完全なまま出願して、出願日から1年以内に国内優先権を主張して再度出願する必要が生じたりすることもあります。依頼人の中には、商品を販売してしまうと新規性がなくなってしまい、特許がとれなくなるということを御存知ない方も、ときどきいらっしゃいます。

 したがって、新商品の企画が提案された時点で、その商品が関係しそうな特許出願等が、他社から出されているかどうかについて調査することが重要です。完全な調査はできないとしても、その技術分野において、どのような出願がなされているかを知るだけでも、今後の開発の方向を定めるに際して、有意義な情報が得られると思います。平成5年以降に公開されたものという制限はありますが、とりあえず簡単に調査してみるということであれば、特許庁のホームページの電子図書館を利用して行うこともできます。

 次に、新商品の企画が社内で採用されて、商品を具体化すべく開発が進んで、その内容がかなり具体化してきたら、社内の特許担当者に相談すると共に、出願を依頼しようと予定している外部の特許事務所に一度相談に行くことをお奨めいたします。その際には、新商品の内容を理解するのに役立つ資料やサンプル、他社の類似商品があればその資料やサンプル、自社で調べた範囲で見つかった先行技術文献等を持っていくとよいと思います。

 特許事務所では、専門家である弁理士が、新商品の技術内容を聞いて、特許がとれそうな内容を含んでいるかどうか、もし出願するとしたらどのような点を発明の特徴とするか、その効果を示す実験データ等が十分かどうか、その他にどのようなデータがほしいか、明細書の記載要件を満たすためには、どの程度まで具体的に記載しなければらならないか、持参した資料の他にどのような情報が必要か、微生物の寄託等、出願前に準備すべき事項はないか、もう少し詳しい特許調査をする必要があるか、他社の先行特許が存在する場合には、どのように構成を変えれば侵害を回避できるかなどについて検討してくれると思います。

 このような出願前の相談であっても、それによって弁理士の検討時間がかかる場合には、相談料や、鑑定料などの費用をとられることがありますが、出願の前段階で専門家と相談しておくことにより、従来技術との相違点を明確にして特許性を高め、かつ、できるだけ広い権利がとれるように特許出願をすることができます。また、新商品の発売直前に他社特許の侵害品であることがわかったりする事態を避けることができます。

 商品開発の過程で、大学等の外部の研究機関に試験等の依頼をし、その試験によって新しい知見が発見され、大学の先生等が学会や学術誌にて研究成果を発表することもあります。しかしながら、商品の販売と同様に、そのような発表も、発明の新規性を喪失することになります。発表された日から6ヶ月以内に出願するなど、いくつかの条件を満たす場合には、新規制喪失の例外規定が適用されますが、全ての場合に適用を受けられるわけではないので、注意が必要です。

 こうして特許出願に必要な資料やデータが整い、社内における検討も終了したら、正式に特許事務所に出願を依頼することになります。この出願依頼は、新商品が外部に発表される日より、できれば2ヶ月以上前、最低でも1ヶ月以上前であることが望まれます。特許事務所も経営上、常に複数の依頼事件を抱えた状態で仕事をしているので、じっくりと明細書を書いてもらうためには、時間的なゆとりを持って依頼することが必要です。

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